こんにちは!埼玉県さいたま市中央区の行政書士、くりはらです!
今回は、請負契約に対して建設業法で規制をしている「不当に低い請負代金の禁止」についてです。
このあと詳しく説明をしますが、「不当に低い請負代金の禁止」とは読んで字のごとく、発注者が請負人に対し、一般的に妥当だと思われる金額を下回る代金での契約を禁止した規定です。
(※建設業法で請負金額に関する規定はいくつかあり、別記事もありますので参考にどうぞ。)
この「不当に低い請負代金の禁止」は、建設業法における請負契約関連の法令に一貫している、「請負契約の適切な締結」の要請を具体化したものの一つと考えられます。
また、これら契約関連の条文は、かつては軽視されてきた側面が少なからずありましたが、近年の「コンプライアンス=法令遵守」という意識の高まりからも、建設業を経営する上で無視することができない重要な要素となっています。
・・・と、前置きはこのぐらいにして、早速本題イってみましょう!
\建設業者様向け請負契約についての記事まとめはこちら/
不当に低い請負代金とは
「不当に低い請負代金の禁止」の定義
建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」とは、注文者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を請負人と締結することを禁止するものです。
なお、元請下請間における下請契約では「注文者」を元請負人、「請負人」を下請負人と読み替えるとわかりやすくなります。
注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
今回のキーワード
今回キーワードは
- 「自己の取引上の地位を不当に利用」
- 「通常認められる原価」
この2つの言葉に注目して読んでいただくと理解がしやすいかと思います。
「自己の取引上の地位を不当に利用」とは
「自己の取引上の地位を不当に利用」とは、取引上優越的な地位にある元請負人が、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いることを指します。
取引上の優越的な地位とは
取引上優越的な地位にある場合とは、下請負人にとって元請負人との取引の継続が困難になることが下請負人の事業経営上大きな支障をきたすため、元請負人が下請負人にとって著しく不利益な要請を行っても、下請負人がこれを受け入れざるを得ないような場合をいいます。
この取引上優越的な地位に当たるか否かについては、元請下請間の取引依存度等により判断されることとなるため、例えば、下請負人にとって大口取引先に当たる元請負人については、取引上優越的な地位に該当する可能性が高いと考えられます。
地位の不当利用とは
元請負人が、下請負人の指名権、選択権等を背景に、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いたか否かについては、下請代金の額の決定に当たり下請負人と十分な協議が行われたかどうかといった対価の決定方法等により判断されます。
例えば、下請負人と十分な協議を行うことなく元請負人が価格を一方的に決定し当該価格による取引を強要する指値発注については、元請負人による地位の不当利用に当たるものと考えられます。
「通常必要と認められる原価」とは、
「通常必要と認められる原価」とは、「当該工事の施工地域において当該工事を施工するために一般的に必要と認められる価格(直接工事費、共通仮設費及び現場管理費によりなる間接工事費、一般管理費(利潤相当額は含まない)の合計額)」をいいます。
具体的には、下請負人の実行予算や下請負人による再下請先、資材業者との取引状況、さらに当該地域の施工区域における同種工事の請負代金額の実例等により判断することになります。
注意事項
「不当に低い請負代金の禁止」は、契約変更にも適用されます。
つまり、当初契約の締結に際して、不当に低い請負代金を強制することに限られず、契約締結後元請負人が原価の上昇を伴うような工事内容の変更をしたのに、それに見合った下請代金の増額を行わないことや、一方的に下請代金を減額することにより原価を下回ることも含まれます。
また、場合によっては、「見積り条件の提示」、「書面による契約」、「指値発注」に該当することもあり得るので注意が必要です。
法令違反を起こさないために、自社の契約内容や契約方法を見直してみてはいかがでしょうか? くりはら行政書士事務所でも契約まわりのサポートを行っておりますので、心配な方はお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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