【建設業許可】知事許可と大臣許可とは?

建設業許可のイメージ画像だよ!

こんにちは!埼玉県さいたま市中央区の行政書士、くりはらです。

今回は建設業許可の種類、特に「知事許可と大臣許可」について書いていこうと思います。

一口に建設業許可といっても、様々な種類があります。

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↑の「一般建設業許可と特定建設業許可」の記事でも書きましたが、建設業許可の種類はざっくりと「金額」と「地域」によって分けることができます。

このうち、

  1. 「金額」によって分けられるものが「一般建設業許可」と「特定建設業許可」
  2. 「地域」によって分けられるものが「知事許可」と「大臣許可」

となります。

今回は、特に②の「地域」によって分けられる「知事許可」と「大臣許可」について書いていきます。

目次

「知事許可」「大臣許可」とは?

「知事許可」と「大臣許可」ですが、さきほども書いたように「地域(営業所)」によってどちらの許可が必要となるかがわかれてきます。

つまり、

  • 一つの都道府県内に営業所がある場合は知事許可
  • 複数(二つ以上)の都道府県にまたがって営業所がある場合は大臣許可

を取得することになります。

例えば、

  • 埼玉県内に営業所が50か所ある。でも埼玉県内にしか営業所はない。→知事許可
  • 埼玉県内には営業所は1か所だけ。ただ、福岡県に1か所、北海道にも1か所営業所がある→大臣許可

となります。

注意点

あくまで「営業所がどこにどれだけあるか」によって「知事許可」「大臣許可」が決まりますので、一つの法人で知事許可と大臣許可を同時に取得することはできません。 

また、単純に営業所がどこにどれだけあるか、によって種類が変わるだけなので、「知事許可」と「大臣許可」で許可のとりやすさに違いはありません。(多少用意する書類は異なりますが。)

「大臣許可」というと「なんだかワカランがとにかくすごそう」感がありますが、いくつかの都道府県に営業所があるので知事ではなく国土交通大臣がまとめて許可をするよ、そのほうが手間ないっしょ?といった性格の許可なので、「どっちがエライ/しょぼい」といったことはありません。

ちなみに、知事許可であっても全国どこでも工事をすることは可能です。

営業所の基本

ここで、さっきからなにかと出てくる「営業所」ですが、建設業法での意味がしっかりと定義されていますので、簡単に確認しておきます。

この建設業法の指す「営業所」とは、『本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所』とされています。

ただし、

  • 単に登記上の本店に過ぎない場合
  • 建設業とは全く無関係な支店や事務所
  • 請負契約の締結権限を持たない事務所

などは建設業法上の「営業所」には当たりません。

※建設業法上の「営業所」に当たる場合には、営業をする業種の「専任技術者」を配置して、許可行政庁に届出をしなければなりません。

知事許可は営業所のある都道府県の建設業担当で手続をすればいいのですが、では、大臣許可を取得したい場合はどうしたらいいのでしょうか?

大臣許可を取るにはどうしたらいいの?

この記事の最初の方に書きましたが、『複数(二つ以上)の都道府県にまたがって営業所がある場合』は大臣許可が必要になります。

この大臣許可を取得するためには、知事許可と同様、要件を満たし、適切な提出先へ申請することが必要となります。

大臣許可の要件

まず、大臣許可を取得するための要件ですが、

  • 経営業務の管理責任者
  • 専任技術者
  • 財産要件
  • 誠実性
  • 欠格要件に該当しないこと
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など、基本的な要件は知事許可と変わりません。

知事許可との違いは、

  • 『複数(二つ以上)の都道府県にまたがって営業所がある』こと
  • それぞれの営業所に「令3条使用人(営業所の責任者:請負契約の締結権限がある)」「専任技術者」を置くこと

です。

※知事許可でも「営業所」が複数あり、各営業所で建設業を営む場合には「令3条使用人」「専任技術者」を営業所ごとに置かなければなりません。

大臣許可の申請先

大臣許可の申請は、主たる事務所(一般的には本店)の所在地を管轄する都道府県の建設業許可の担当課を経由して各地方整備局へ提出します。

書類を持って行く先は知事許可と同じ窓口になります。

申請費用

こちらも知事許可と同様、登録免許税を納める必要があります。

金額ですが新規申請の場合も知事許可から大臣許可へ切替える(許可換え新規)場合も同じです。

一般又は特定のどちらか一方

一般と特定の両方ある

15万円

30万円

大臣許可を取得することのメリットとデメリット

大臣許可を取得することで、知事許可とはちがったメリット・デメリットがあります。

大臣許可のメリット

国土交通大臣許可を取得するメリットは主に以下の3つです。

入札の際、自治体内に営業所があれば有利になる(場合がある)

入札参加する場合に、自治体によってはその自治体内や近隣に営業所がある事業者をその他の事業者より優位に扱ってくれる場合があります。自治体としても地元に営業所がある事業者のほうが仕事を進めやすいですし、雇用も生まれますからね。

社会的評価が上がる

ホントは営業所が複数の都道府県にあるだけで知事許可とさして変わりはないのですが、「大臣が許可した」という「なんだかワカランがとにかくすごそう」感があるので、銀行さんや取引先との関係にも影響があったりなかったりします。

事業規模が拡大できる

知事許可でも日本全国どこでも施工することができますが、現場の近くに営業所があったほうが施工管理もそうですが、材料や資金の調達でもより速く対応できるので、事業拡大の速度も相対的に上がってきます。

大臣許可のデメリット

国土交通大臣許可を取得する場合に考えられるデメリットは以下の4点となります。

知事許可より費用が多くかかる

知事許可では9万円の登録免許税ですが、大臣許可を取得するには、新規でも知事許可からの切り換えである許可換え新規でも同様に15万円の登録免許税がかかります。

さらに、一般建設業許可と特定建設業許可の両方となると倍の30万円が必要となります。

審査期間が長い

知事許可の場合審査期間は標準でおよそ1ヶ月ですが、大臣許可になるとおよそ3か月の審査期間がかかります。

営業所ごとに令3条使用人・専任技術者の配置が必要

営業所の設置には家賃などのランニングコスト等が必要ですし、営業所ごとに責任者や技術者を配置する人的リソースも必要になります。

営業所を廃止した場合の費用負担や法的リスク

事業の縮小や専任技術者が配置できなくなったりして、営業所を廃止しなければならなくなったとき、変更届や知事許可への許可換えが必要となります。

知事許可への許可換えは新規申請と同様の扱いとなりますので、新たに9万円の登録免許税が必要となりますし、うっかり手続を忘れてしまうと建設業法違反となってしまいます。

まとめ

今回は「知事許可」「大臣許可」について書いてきました。

「知事許可」「大臣許可」どちらが必要なのかは

  • 営業所がどこに、どれだけあるか

がキモになります。

また、「営業所」を複数置くためには、営業所ごとに

  • 令3条使用人
  • 専任技術者

を配置する必要があります。

申請先も、知事許可・大臣許可ともに窓口は同じですが、審査機関が異なり、審査期間も異なります。

大臣許可を取ることで、受注機会が増大したり社会的な信用も高まりますが、金銭的・人的リソースはより多く必要となります。

ちょっと長くなってしまいましたが、「知事許可」「大臣許可」についての情報はほぼ網羅されているので、ブックマークして必要な部分だけ読んでみてください。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

こんにちは!
行政書士のくりはらたかしと申します。
埼玉県さいたま市中央区に事務所があります。

埼玉県を中心に関東各地で建設業許可・経審・入札などの手続き代行やコンプライアンス対応を行っています。協同組合も対応可能です。

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