こんにちは!埼玉県さいたま市中央区の建設手続行政書士、くりはらです。
今回は「建設業許可とは何か?」ついての記事です。
- 建設業許可とはどんなものか
- 許可を取る必要があるのかどうか
- どんな種類の許可をとったらいいのか
ということについて書いていきます。
ちなみに…
今回の記事は、「建設業許可」の全体像を法律が苦手な方にもわかりやすくまとめた記事のため、少々長めになっています。ですが、10分ちょっとあれば読める長さに収めていますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
\建設業許可の具体的な要件についてはこちら/
そもそも建設業・建設業許可って、なに?
まずは今日の記事の大前提である「建設業・建設業許可とは何ぞや?」から始めます。
建設業とは?
建設業とは、一般的な説明として「土木や建築に関する工事を請負う営業」を指すといわれ、土建業ともいわれることがあります。
建設業は大きく「土木系」「建築系」とわけられ、
- 「土木系」では道路、橋、ダムや堤防などの工事
- 「建築系」では住宅、マンションやショッピングモールなどの建物、その建物の中の内装や設備などの工事
がそれぞれメインとなります。
建設業法では29の業種が規定され、2つの一式工事と27の専門工事に細分化されています。建設業許可を取得するときは、この業種ごとに許可を取ります。これを「業種別許可制」と呼んでいます。
また、建設業法では「建設業」について以下のように定義されています。
(定義)
第2条第2項
この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
元請・下請など、どんな名称かに関わらず、建設工事の完成を請負うことをいいます。単純に「建設工事の完成」なので民間工事・公共工事を問いません。また、契約主体(施主・注文者)も法人・個人事業主を問いません。
建設工事の完成を「請負う」営業なので、契約形態は「請負契約」となります。
※請負契約について詳しくは以下の記事をご確認ください。
建設業許可とは?
建設業許可については、建設業法第3条に規定されています。
(建設業の許可)
第3条(抜粋)建設業を営もうとする者は、・・・二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
つまり、建設業を営もうとする者は、以下の区分に応じて許可を受けなければならないとされています。
- 2つ以上の都道府県にまたがって営業所を持っている場合・・・国土交通大臣許可
- 1つの都道府県内に営業所がある場合・・・・・・・・・・・・営業所のある都道府県知事許可
ただし、「政令で定める軽微な工事」については建設業許可を受ける必要がありません。
じゃあ、具体的に建設業許可が必要・不要な場合って?
具体的に、どんな建設業者が建設業許可が必要で、どんな建設業者が建設業許可を取る必要がないのでしょうか?
建設業許可を取る必要があるかどうかを判断する基準は、受注する工事の1件あたりの金額によって分かれます。そして、この基準が「政令で定める軽微な工事」として政令に定められています。
内容を詳しくみていきましょう。
「政令で定める軽微な工事」とは?
「政令で定める軽微な工事」とは受注する工事1件あたりの金額が
- 建築一式工事の場合
工事1件あたりの請負金額が1500万円未満の工事、又は述べ面積が150m²未満の木造住宅工事
※主要構造部が木造で、その延べ面積の½以上を居住用とするもの
- 建築一式工事以外の場合
工事1件あたりの請負金額が500万円未満の工事
※「軽微な工事」にあたる事業者でも、電気工事業者や解体工事業など別途法律により登録を受ける必要があるものがありますのでご注意ください!
以上が「軽微な工事」にあたり、建設業許可を受ける必要がありません。
ウラを返すと、上記の範囲を超える工事を行うためには建設業許可を受ける必要がある、ということとなります。
あくまで、
- 原則→建設業を営む場合には建設業許可を受ける必要がある
- 例外→「軽微な工事」にあたる場合は建設業許可を受ける必要がない
とされているにすぎない点に注意しなければなりません。
(将来、この「軽微な工事」の金額が変更される可能性もないとも言い切れません。)
「軽微な工事」の範囲については、以下の点もご注意下さい
工事の完成を二つ以上の契約に分割して請け負う時は、各契約の請負代金の合計額を工事の請負代金とすることになっています。よって、1件の工事を工期・工種等で分割しても、その合計額が500万円以上になる場合は建設業許可を受ける必要があります。また、消費税込み・材料費も請求している場合は材料費も込みの金額であることにご注意ください。
建設業許可の区分
さて、ここまで「建設業許可とはなにか?」「どういった場合に建設業許可を取らなければならないか」といったことを見てきました。
ここからは建設業許可が必要な場合に、建設業許可にはどんな種類があるのか?ということを見ていきます。
建設業許可は、まず、「営業所がどこにどれくらいあるのか」「元請・下請のどちらで、どの程度の金額の工事を請負うのか」という観点で以下のように分けています。
- 営業所の数・・・・・・・・・・・・・都道府県知事許可か国土交通大臣許可か?
- 請負金額と元請・下請のどちらか・・・一般建設業許可か特定建設業許可か?
都道府県知事許可か国土交通大臣許可か?
これは「建設業許可とは?」で触れましたが、建設業法第3条で
- 2つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合には大臣許可
- 1つの都道府県内に営業所がある場合は知事許可
がそれぞれ必要になると規定されています。
「営業所」とは?
建設業許可でいう「営業所」とは「建設業法での営業所」という意味で、本店・支店を問わず常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
「常時請負契約を締結する事務所」とは、「請負契約の締結を実質的に行う事務所」を指します。したがって、本店・支店であっても、単なる登記簿上のものである場合、また、「営業所」と名乗っていても契約等の業務を行わない事務連絡所・工事事務所などは、この「営業所」には当たりません。
一般建設業許可か特定建設業許可か?
一般建設業許可
一般建設業許可とは、建設工事を下請に出さない場合や、下請に出した場合でも1件の工事代金が4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)未満の場合に必要となる許可をいいます。
特定建設業許可
特定建設業許可とは、発注者(施主さんなど、最初の発注をする人)から直接請け負った1件の工事について、下請代金の額(いくつか下請契約があるときはその総額)が4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)以上となる場合に必要となる許可をいいます。
※特定建設業許可が必要になるのは元請業者のみ、というところにご注意ください。
自社がどんな工事を請け負っているのか?
建設業の許可は、29種類(平成28年6月より、「解体工事業」が追加されて29業種となりました。)の建設工事の業種ごとに、それぞれ対応する許可を取得する必要があります。これを「業種別許可」とよんでいます。この29種類の業種を大きく分けると2つ、「一式工事」と「専門工事」とに分けられます。
一式工事は、工事を実際に施工する「専門工事」とは異なり、総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物または建築物を建設する場合の業種をいいます。大規模であったり、複雑な内容の工事を総合的に管理するような元請事業者を想定しています。また、一式工事の許可を受けていても、他の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事業の許可を受けなければならない点にご注意ください。
「専門工事」とは、上記の2つの一式工事以外の27業種があります。この専門工事は様々な工事を実際に施工する際に必要となる許可です。
なお、業種別許可制とそれぞれの業種についての詳しい解説は↓の記事をご参照ください。
これらの業種のうち、自社がどのような工事を請け負っているかによって許可を受ける業種を決定します。
建設業許可申請の審査期間
建設業許可を申請したからといって、すぐに許可がもらえるわけではありません。
提出した書類をみて審査をする期間が必要になります。
この審査期間は、申請する建設業許可の種類で異なります。
- 国土交通大臣許可→約4ヶ月
- 都道府県知事許可→約1~1.5ヶ月
が目安となっています。
当事務所で申請すると、埼玉県知事許可ではおおむね3週間~1ヶ月程度で許可が出ることが多いです。
許可の有効期限
建設業許可の有効期限は、許可のあった日から5年目の対応する日の前日まで、とされています。
例えば、平成28年4月1日に許可があったと仮定すると、平成33年3月31日が許可の満了日、ということになります。
許可を更新する場合には、有効期間満了日の30日前までに手続きをしなければなりません。手続を怠ってしまうと、期間の満了によって建設業許可は効力を失ってしまい、お仕事を続けることができなくなってしまいます。ギリギリになってバタバタしないように2~3ヶ月前には準備を始めることをオススメします。
まとめ
以上のように、今回の記事は
- 建設業許可とはどんなものか
- 建設業許可を取る必要があるのかどうか
- どんな種類の建設業許可をとったらいいのか
といったことについて書いてきました。
正直、軽く調べてみよう、と思っていたら意外と盛りだくさんで面喰らったかもしれません。ここでは最低限
- 許可を取る必要があるか
許可を取るとして
- 「知事・大臣」のどちらか
- 「一般・特定」のどちらか
- どの業種にするか
を押さえていくといいかと思います。
もし、ここまで読んでみて、疑問に思うことがあればお問い合わせフォーム・お電話からお気軽にお問い合わせください!お問い合わせフォーム・お電話でのお問い合わせについては相談料無料です。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。