平成31年3月15日に建設業法の改正案とその関連する法律の改正案が発表されました。正しくは、【働き方改革の促進、生産性の向上及び持続可能な事業環境の確保を図る施策を盛り込んだ「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」】が閣議決定された、というものです。
ざっくりと全体像を確認すると、基本的には建設業法の内容に改正部分があり、この関連法では参照する建設業法の条文番号などを改正する、といったものとなっています。
今回はこの建設業法改正案を確認しておきたいと思います。
今回の建設業法改正案
今回の改正案ですが、実際の内容まで掲載すると長くなってしまうのでかいつまんで説明していきます。
- 経営業務の管理責任者の要件が簡略化・合理化
- 現場配置技術者(監理技術者・主任技術者)の配置の簡略化・合理化
- 請負契約についての規制強化
- 建設業の譲渡や相続・合併についての制度が新設
ひとつずつみていきます。
経営業務の管理責任者の要件が簡略化・合理化
まず、今回の改正で一番大きな話題になりそうなのがこれですね。以前から「経管要件がなくなる」といった議論がされていましたが、これを合理的な形に落とし込んだといえるでしょう。
条文案としては
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
とされました。現行法に比べるとかなりスッキリとしました。
ポイントは今後定められるであろう「国土交通省令で定める基準」がどうなるか、といったところとなります。
また、建設業許可基準に社会保険加入を要件とすることが盛り込まれるようです。
現場配置技術者の配置の簡略化・合理化
ここからは、条文案をみてもわかりにくいので、ざっくりと説明していきます。
タイトルの通り、現場配置技術者(監理技術者・主任技術者)の配置に関する基準が簡略化・合理化されます。
内容としては、
- 元請建設業者の配置する「監理技術者」について、補佐役の「技士補」をつくり、「技士補」選任配置の現場では監理技術者が複数兼任可能になる。
- 下請建設業者の配置する「主任技術者」について、上位の下請建設業者が一定の要件をクリアすれば、それより下位の下請建設業者では主任技術者の専任配置が不要になる。
です。技術者不足に対応していこう、という姿勢が表れているように感じますね。
その他
上記のほか、
- 「請負契約についての規制強化」では下請代金のうち労務費相当分については現金払いとするよう配慮すること
- 「建設業の譲渡や相続・合併についての制度が新設」については、国土交通大臣や知事の事前認可を受けること
が規定されています。
これらのうち特に建設業の譲渡・相続・合併については、新たに設定される制度のため、実際の運用がどうなるかが気になるところです。
さいごに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
現段階ではあくまで「改正案」ですから、
- 実際に可決されるまではどのようなものになるかは確実ではないこと
- 可決・成立をしても実際に効力が発生するまでの周知期間もある
といった点をご了承ください。
とはいえ、建設業許可申請が「経営業務の管理責任者」の実務経験で止まってしまった方には朗報といえます。今後の推移を見守っていきたいと思います。
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