一括下請負の禁止について

こんにちは!埼玉県さいたま市中央区の行政書士、くりはらです!
今回は建設業を適正に経営するために必須の知識「一括下請負の禁止」についてです。

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2018.05.15

「一括下請負」は、建設業法によって禁止されており、違反をすると営業停止等の重い処分を受けることになります。

さらに、近年、経営環境としてコンプライアンス(法令遵守)が強く求められるようになってきました。
この傾向は建設業界でも例外ではなく、民法や建設業法をはじめ関連する法律を守って適切に経営をすることが求められています。

そのなかで、一括下請負は、発注者が建設工事の請負契約を締結する際に、当然相手方となる建設業者が施工をしてくれるだろう、という発注者側の期待や信頼を裏切ることになってしまう、建設工事に実質的に関わることのない中間業者が登場し、不当な中間搾取が起こる、必要以上に契約が重層化して責任の所在がはっきりしなくなってしまう等のおそれがある、という理由から、建設業法第22条において禁止されています。条文の一部を引用してみましょう。

建設業法第22条
 建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請負わせてはならない。

ですが、残念なことに依然として不適切な事例がみられることから、一括下請負の排除の徹底と適切な施工の確保が求められています。

さらに、中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会中間とりまとめ(平成28年6月22日)においても、実質的に施工に携わらない企業を施行体制から排除し、不要な重層化を回避するため、一括下請負の禁止に係る判断基準の明確化を図る必要がある旨が提言されました。

これらの背景を受け、平成28年10月14日に国土交通省から「一括下請負禁止の明確化について」が発出されました。
こちらを元に、今回のテーマ「一括下請負の禁止」について詳しく解説していきたいと思います。

 

一括下請負の禁止とは?

「一括下請負」はさきほど挙げたように、

  1. 契約の相手方が施工をしてくれるだろう、という発注者の期待を裏切る
  2. 工事に関わらない中間業者による中間搾取のおそれ
  3. 契約が重層化して責任の所在がはっきりしなくなってしまう

といったさまざまなリスクがあり、一括下請負を容認することで建設業界の健全な成長を阻害してしまうことになりかねません。
こういったリスクを避けるため、建設業法22条によって「一括下請負の禁止」が定められています。

そして、建設業者は、その請け負った工事の完成について誠実に履行することが必要とされています。したがって、元請負人がその下請工事に「実質的に関与」することなく、

  1. 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
  2. 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

これらの場合に該当するときは、「一括下請負」に該当することとなります。

「実質的に関与」って?

この「実質的に関与」とは、

【元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等を行うこと】

をいい、具体的には下記の表のとおりです。

  元請に求められる役割
施工計画の作成
  • 請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成
  • 下請負人の作成した施工要領書等の確認
  • 設計変更等に応じた施工計画書等の修正

 

工程管理
  • 請け負った建設工事全体の進捗確認
  • 下請負人間の工程調整
品質管理
  • 請け負った建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
安全管理
  • 安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視等請け負った建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置
技術的指導
  • 請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
  • 現場作業に係る実地の総括的技術指導
その他
  • 発注者との協議・調整
  • 下請負人からの協議事項への判断・対応
  • 請け負った建設工事全体のコスト管理
  • 近隣住民への説明

⇒元請けは以上の事項を全て行うことが求められる

  下請に求められる役割
施工計画の作成
  • 請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成
  • 下請負人が作成した施工要領書等の確認
  • 元請負人等からの指示に応じた施工要領書等修正
工程管理
  • 請け負った範囲の建設工事に関する進捗確認
品質管理
  • 請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則)
  • 元請負人への施工報告
安全管理
  • 協議組織への参加、現場巡回への協力等請け負った範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置
技術的指導
  • 請け負った範囲の建設工事に関する作業員配置等法令遵守
  • 現場作業に係る実地の技術指導※
その他
  • 元請負人との協議
  • 下請負人からの協議事項への判断・対応
  • 元請負人等の判断を踏まえた現場調整
  • 請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理
  • 施工確保のための下請負人調整

 

⇒下請は、以上の事項を主として行うことが求められる

※は、下請が、自ら請けた工事と同一の種類の工事について、単一の建設企業と更に下請契約を締結する場合に必須とする事項(専門工事業者がさらに下請に出すときに必須)

※参考資料「一括下請負禁止の明確化について」国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001149211.pdf

一括下請負に対する発注者の承諾

上記の例外として、民間工事(共同住宅を新築する建設工事を除く)の場合、元請負人があらかじめ発注者から一括下請負に付することについて書面による承諾を得ている場合は、一括下請負の禁止の例外とされていますが、次の点に注意する必要があります。

  1. 建設工事の最初の注文者である発注者による承諾が必要。発注者の承諾は、一括下請負に付する以前に書面により受けなければならない。
  2. 発注者の承諾を受けなければならない者は、請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせようとする元請負人です。

したがって、下請負人が請け負った建設工事を一括して再下請負に付そうとする場合にも発注者の書面による承諾を受けなければなりません。(※当該下請負人に建設工事を注文した元請負人の承諾ではないことに注意。)

また、事前に発注者から承諾を得て一括下請負に付した場合でも、元請負人は、請け負った建設工事について建設業法に規定する責任を果たすことが求められ、当該建設工事の工事現場に同法第26条に規定する主任技術者又は監理技術者を配置することが必要です。

一括下請負禁止違反の建設業者に対する監督処分

受注した建設工事を一括して他人に請け負わせることは、発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切る行為であることから、一括下請負の禁止に違反した建設業者に対しては建設業法に基づく監督処分等により、厳正に対処することとしています。

 また、公共工事については、一括下請負と疑うに足る事実があった場合、発注者は、当該建設工事の受注者である建設業者が建設業許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知することとされ、建設業法担当部局と発注者とが連携して厳正に対処することとしています。

 監督処分については、行為の態様、情状等を勘案し、再発防止を図る観点から原則として営業停止の処分が行われることになります。

 なお、一括下請負を行った建設業者は、当該工事を実質的に行っていると認められないため、経営事項審査における完成工事高に当該建設工事に係る金額を含むことは認められません

まとめ

一括下請負の禁止に違反して一括下請負をしてしまうと、基本的には「営業停止」が課せられてしまいます。さらに、一括下請負に該当すると判断された工事に関しては経営事項審査での完成工事高へ計上することができなくなってしまいます

では、これを避けるためにはどうしたらいいか?これはさきほど挙げた表を参考に下請業者さんmに対して

  1. 施工計画の作成
  2. 工程・品質・安全の管理
  3. 技術的なフォロー

これらをしっかりとすることが必要です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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