建設業法改正法が令和元年6月5日に可決・成立、令和元年6月12日に公布されました。
この法律の施行日は、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日、とされています。ただし、一部の法律については2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。2020年中にはおおむね施行される予定となります。
さらに、改正建設業法の公布をした官報では、本改正前の建設業法を「旧建設業法」、改正後の建設業を「新建設業法」と呼んでいます。
今回は、この建設業法の改正について、新旧条文を対象しながら確認していきます。
今回の建設業法改正は、建設業許可の基準やM&Aについての全く新しい制度、請負契約の条項の追加、現場配置技術者の一部要件の緩和など、建設業を営む会社にはインパクトの大きいものが数多くあります。これらについての詳細な考察は、政府や国土交通省などの公式のアナウンスが揃った時点で改めて記事にしていきます。
まずは、速報として新たに成立した建設業法の改正を、条文の確認という面で書いていきます。
※内容を分かりやすくするために、各条文のカッコ書きは省略しています。
施行期日
2019年8月27日、この改正建設業法をはじめとする「「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行期日が決定されました。いくつか日にちがありますので、それぞれ以下に記載します。
- 令和元年9月1日~建設業者等に課される努力義務部分
- 令和2年10月1日~上記以外の一年六月以内で政令で定める日から施行することとされている部分
- 令和3年4月1日~二年以内で政令で定める日から施行することとされている部分(技術検定関係)
となりました。
ちなみに、「施行」とは、国会にて成立した法律が実際に効力を発生させることをいいます。つまり、これらの施行期日をもって「改正建設業法」が実施されることとなります。
施行期日①令和元年9月1日
令和元年9月1日、今日(2019年8月27日)から5日後には改正建設業法の一部が施行されることとなります。
「ちょ、ちょっと待ってよ!全然準備してないよ!」との声が聞こえてきそうですが、大丈夫。努力義務についての部分だけです。
条文番号でいうと、「第25条の27」「第27条の40」「第34条」と「入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)第17条」です。
施行期日②令和2年10月1日
そして、改正建設業法の一番の目玉である大半の条項がこの「令和2年10月1日」から施行されます。
施行期日①のものと施行期日③を除いたものが令和2年10月1日施行となります。
許可の基準(第7条)や新設される「承継」などの部分となります。
施行期日③令和3年4月1日
最後に施行されるのが、「技術検定関係」についての条項です。これが最も遅い施行期日で、「令和3年4月1日」からの施行です。
これによって、これまで「学科試験と実地試験」に分かれていた技術検定(施工管理技士)が「一次試験と二次試験」と呼ばれるようになり、それぞれの段階に応じて合格証明書がもらえます。
現段階では、1級の一次試験合格者に「技士補」の称号を与え、監理技術者の現場専任要件を緩和する予定であると考えられています。
ここから、各条文を詳しくみていきます。
第7条 許可の基準
まず、今回の改正の目玉といってもいい、建設業許可の基準についてです。
建設業許可の基準にはいくつかの定めがありますが、今回の改正では「経営業務の管理責任者」についての要件が修正されました。
【旧】国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。 一 法人で場合においてはその役員のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。 イ 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者 ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者 |
【新】国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。 一 建設業に係る経営業務の管理を適切に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合すること。 |
経験年数などの細かい文言がなくなり、基準を国土交通省令に委任する形式となりました。
令和2年10月1日より有効となった新たな「経営業務管理責任体制(旧:経営業務の管理責任者)要件」については、下記の記事をご覧ください。
第4節 承継
建設業許可の承継、つまり事業の譲渡や分割などのM&A、事業承継などの相続についての規定が新たに置かれることとなりました。
この第4節は一節まるごと新設された条項となります。
第17条の2 譲渡及び譲受け並びに合併及び分割
新設された条文のため、【旧】はありません。
【新】建設業者が許可に係る建設業の全部の譲渡を行う場合において、譲渡人及び譲受人、あらかじめ当該譲渡及び譲受けについて、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、譲受人は、当該譲渡及び譲受けの日に、譲渡人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。 一 譲渡人が国土交通大臣の許可を受けているとき→国土交通大臣 二 譲渡人が都道府県知事の許可を受けているとき→当該都道府県知事 イ 譲受人が国土交通大臣の許可を受けているとき。 ロ 譲受人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。 2 建設業者である法人が合併により消滅することとなる場合において、合併消滅法人等が、あらかじめ当該合併について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、合併存続法人又は合併により設立される法人は、当該合併の日に、合併消滅法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。 一 合併消滅法人が国土交通大臣の許可を受けているとき→国土交通大臣 二 合併消滅法人が二以上ある場合において、当該合併消滅法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき→国土交通大臣 三 合併消滅法人が二以上ある場合において当該合併消滅法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は合併消滅法人が一である場合において当該合併消滅法人が都道府県知事の許可を受けているとき→当該都道府県知事 イ 合併存続法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。 ロ 合併存続法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。 3 建設業者である法人が分割により建設業の全部を承継させる場合において、分割被承継法人等が、あらかじめ当該分割について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、分割承継法人は、当該分割の日に、分割被承継法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。 一 分割被承継法人が国土交通大臣の許可を受けているとき→国土交通大臣 二 分割被承継法人が二以上ある場合において、当該分割被承継法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき→国土交通大臣 三 分割被承継法人が二以上ある場合において当該分割被承継法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は分割被承継法人が一である場合において当該分割被承継法人が都道府県知事の許可を受けているとき→当該都道府県知事 イ 分割承継法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。 ロ 分割承継法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。 4~6 省略 7 第一項から第三項までの規定により譲受人等が譲渡人等の建設業者としての地位を承継した場合における承継許可等に係る許可の有効期間については、当該承継の日における承継許可等に係る許可の有効期間の残存期間にかかわらず、当該承継の日の翌日から起算するものとする。 |
第17条の3 相続
【新】建設業者が死亡した場合において、当該建設業者の相続人が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするときは、その相続人は、国土交通省令で定めるところにより、被相続人の死亡後三十日以内に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。 一 被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき→国土交通大臣 二 被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき→当該都道府県知事 イ 相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき。 ロ 相続人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。 2 相続人が前項の認可の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその認可を受ける日又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした建設業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。 3 省略 4 第一項の認可を受けた相続人は、被相続人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。 5 省略 |
請負契約について
建設工事の契約、請負契約についての規定も改正があります。
第19条 建設工事の請負契約の内容
【旧】建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 一~三 省略(工事内容・請負金額の額・工事着手の時期及び工事完成の時期) 四~十四 省略(請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法・当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め・天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め・価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更・工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め・注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め・注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期・工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法・工事の目的物の瑕疵かしを担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容・各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金・契約に関する紛争の解決方法) |
【新】建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 一~三 省略(工事内容・請負金額の額・工事着手の時期及び工事完成の時期) 四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容 五~十五 省略(請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法・当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め・天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め・価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更・工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め・注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め・注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期・工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法・工事の目的物の瑕疵かしを担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容・各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金・契約に関する紛争の解決方法) 十六 その他国土交通省令で定める事項 |
第19条の5 著しく短い工期の禁止
【新】注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。 |
第19条の6 発注者に対する勧告等
第1項はそのまま。第2項以降が新設です。参考までに、第1項から記載します。
【旧】建設業者と請負契約を締結した発注者が第19条の3又は第19条の4の規定に違反した場合おいて、特に必要があると認めるときは、当該建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。 |
【新】2 建設業者と請負契約を締結した発注者が前条の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。 3 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の勧告を受けた発注者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。 4 国土交通大臣又は都道府県知事は、第1項又は第2項の勧告を行うため必要があると認めるときは、当該発注者に対して、報告又は資料の提出を求めることができる。 |
第20条 建設工事の見積り等
【旧】建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。 2 略 3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあっては契約を締結する以前に、入札の方法により競争に付する場合にあっては入札を行う以前に、第19条第1項第1号及び第3号から第14号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該定時から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。 |
【新】建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費、その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。 2 略 3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあっては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあっては入札を行うまでに、第19条第1項第1号及び第3号から第16号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。 |
これら請負契約についての記事をまとめましたので、詳しくは下記をご確認ください。
第20条の2 工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供
【新】建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を提供しなければならない。 |
第24条の3 下請代金の支払
第2項が新設されました。
【新】2 前項の場合において、元請負人は、同項に規定する下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。 |
第24条の5 不利益取扱いの禁止
【新】元請負人は、当該元請負人について第19条の3、第19条の4、第24条の3第1項、前条又は次条第3項若しくは第4項の規定に違反する行為があるとして下請負人が国土交通大臣等、公正取引委員会又は中小企業庁長官にその事実を通報したことを理由として、当該下請負人に対して、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならない。 |
技術者について
現場に配置しなければならない技術者についても、改正がありました。一定の条件を満たすことで配置条件が緩和されるようになります。
第25条の27 施工技術の確保に関する建設業者等の責務
【旧】 略 2 国土交通大臣は、前項の建設工事の担い手の育成及び確保その他の施工技術の確保に資するため、必要に応じ、講習及び調査の実施、資料の提供その他の措置を講ずるものとする。 |
【新】 略 2 建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならない。 3 国土交通大臣は、前2項の施工技術の確保並びに知識技術又は技能の向上に資するため、必要に応じ、講習及び調査の実施、資料の提供その他の措置を講ずるものとする。 |
第26条 主任技術者及び監理技術者の設置等
【旧】 略 2 略 3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前2項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。 4 前項の規定により専任の者でなければならない監理技術者は、第27条の18第1項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であって、第26条の4から第26条の6までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。 5 略 |
【新】 略 2 略 3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前2項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、監理技術者にあっては、発注者から直接当該建設工事を請け負った特定建設業者が、当該特定監理技術者の行うべき第26条の4第1項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第15条第2号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任でおくときは、この限りでない。 4 前項ただし書の規定は、同項ただし書きの工事現場の数が、同一の特例監理技術者がその行うべき各工事現場に係る第26条の4第1項に規定する職務を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める数を超えるときは、適用しない。 5 第3項の規定により専任の者でなければならない管理技術者は、第27条の18第1項の規定による管理技術者証の交付を受けている者であって、第26条の5から第26条の7までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受けた講習を受講した者のうちから、これを選任しなければならない。 |
第26条の3
【新】特定専門工事の元請負人及び下請負人は、その合意により、当該元請負人が当該特定専門工事につき第26条第1項の規定により置かなければならない主任技術者が、その行うべき条第1項に規定する職務と併せて、当該下請負人がその下請負に係る建設工事につき第26条第1項の規定により置かなければならないこととされる主任技術者の行うべき次条第1項に規定する職務を行うこととすることができる。この場合において、当該下請負人は、第26条第1項の規定にかかわらず、その下請負に係る建設工事につき主任技術者を置くことを要しない。 2 前項の「特定専門工事」とは、土木一式工事又は建築一式工事以外の建設工事のうち、その施工技術が画一的であり、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図る必要があるものとして政令で定めるものであって、当該建設工事の元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が政令で定める金額未満になるものをいう。ただし、元請負人が発注者から直接請け負った建設工事であって、当該元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が第26条第2項に規定する金額以上となるものを除く。 3 第1項の合意は、書面により、当該特定専門工事の内容、当該元請負人が置く主任技術者の氏名その他の国土交通省令で定める事項を明らかにしてするものとする。 4 第1項の元請負人は、同項の合意をしようとするときは、あらかじめ、注文者の書面による承諾を得なければならない。 5 注文者は、前項の規定による書面に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。 6 第1項の元請負人が置く主任技術者は、次に掲げる要件のいずれかにも該当する者でなければならない。 一 当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し一年以上指導監督的な実務の経験を有すること。 二 当該特定専門工事の工事現場に専任で置かれること。 7 第1項の元請負人が置く主任技術者については、第26条第3項の規定は、適用しない。 8 第1項の下請負人は、その下請工事に係る建設工事を他人に請け負わせてはならない。 |
その他の改正
これらの比較的インパクトの大きい改正点の他にも、改正された部分がありますので、まとめてご紹介します。
第27条 技術検定
【旧】 略 2 前項の規定は、学科試験及び実地試験によって行う。 3 国土交通大臣は、第1項の検定に合格した者に、合格証明書を交付する。 4 略 5 第1項の検定に合格した者は、政令で定める称号を称することができる。 |
【新】 略 2 前項の検定は、これを分けて第1次検定及び第2次検定とする。 3 第1次検定は、第1項に規定する者が施工技術の基礎となる知識及び能力を有するかどうかを判定するために行う。 4 第2次検定は、第1項に規定する者が施工技術のうち第26条の4第1項に規定する技術上の管理及び指導監督に係る知識及び能力を有するかどうかを判定するために行う。 5 国土交通大臣は、第1次検定又は第2次検定に合格した者に、それぞれ合格証明書を交付する。 6 略 7 第1次検定又は第2次検定に合格した者は、それぞれ政令で定める称号を称することができる。 |
第27条の40 建設業者団体の責務
【新】建設業者団体は、災害が発生した場合において、当該災害を受けた地域における公共施設その他の施設の復旧工事の円滑かつ迅速な実施が図られるよう、当該復旧工事を施工する建設業者と地方公共団体その他の関係機関との連絡調整、当該復旧工事に使用する資材及び建設機械の調達に関する調整その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 |
第41条の2 建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等
【新】国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第28条第1項第1号若しくは第3号に該当することにより当該建設業者に対して同項の規定による指示をする場合又は当該都道府県知事の管轄する区域内で建設工事を施工している第3条第1項の許可を受けないで建設業を営む者が第28条第2項第1号に該当することにより当該建設業を営む者に対して同項の規定による指示をする場合において、当該指示に係る違反行為が建設資材に起因するものであると認められ、かつ、当該建設業者又は建設業を営む者に対する指示のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該建設業者又は建設業を営む者に当該建設資材を引き渡した建設資材製造業者等に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置をとるべきことを勧告することができる。 2 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた建設資材製造業者等がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。 3 国土交通大臣又は都道府県知事は、第1項の規定による勧告を受けた建設資材製造業者等が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらない場合において、同項の建設資材と同一又は類似の建設資材が使用されることにより建設工事の適正な施工の確保が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは、当該建設資材製造業者等に対して、相当に期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。 4 国土交通大臣又は都道府県知事は、前3項の規定の施行に必要な限度において、その許可を受けた建設業者に建設資材を引き渡した建設資材等製造業者等に対して、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、事務所、工場、倉庫その他の場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。 5 第26条の21第2項及び第3項の規定は、前項の規定による立ち入り検査について準用する。 |
まとめ
今回は、令和元年6月5日に可決・成立した建設業法の改正について書いてきました。
なるべくわかりやすい比較・記載にしようと工夫するうちに、1万字近い超ボリュームとなってしまいました。
このうち、特にインパクトの大きい改正については、それぞれ詳しく記事を起こしていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。