こんにちは!埼玉県さいたま市中央区の行政書士、くりはらです。
先週の土曜日、ニトリでこたつを買いました。
ちょっと大きめサイズを買ったので、これからのごろごろお昼寝ライフが充実しそうで楽しみ~。
さて、今回は建設業許可の要件のなかで見落とされがちではあるけれども、とっても大事な「営業所」についての記事です。
営業所とは?
建設業法でいう「営業所」とはどんなものを指すのでしょうか?
建設業法をひいてみましょう。
(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
建設業法施行令(支店に準ずる営業所)
第一条 建設業法(以下「法」という。)第三条第一項の政令で定める支店に準ずる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする。(昭和三十一年政令第二百七十三号)
つまり、建設業法上の「営業所」とは、本店、支店など建設工事の請負契約を常時締結する事務所のことを指しています。
また、この「営業所」が
- 2つ以上の都道府県にまたがってある場合→国土交通大臣許可
- 1つの都道府県にある場合→都道府県知事許可
が必要となります。
「国土交通大臣許可」「都道府県知事許可」については、別に詳しくまとめていますのでそちらを読んでみてください。
ただし、建設業を営む場合であっても、「軽微な工事の請負」に該当する場合には該当しません。
- 建築一式工事の場合
工事1件あたりの請負金額が1500万円未満の工事、又は述べ面積が150m²未満の木造住宅工事
※主要構造部が木造で、その延べ面積の½以上を居住用とするもの
- 建築一式工事以外の場合
工事1件あたりの請負金額が500万円未満の工事
※「軽微な工事」にあたる事業者でも、電気工事業者や解体工事業など別途法律により登録を受ける必要があるものがありますのでご注意ください!
「建設工事の請負契約を常時締結する」って?
「建設工事の請負契約を常時締結する」とは、請負契約の見積り、入札、契約締結の手続など、契約締結に係る実体的な行為を行うことをいいます。
営業所は2種類ある?
営業所の設置の仕方によって、許可の区分(知事許可・大臣許可)が異なることは先ほど書いた通りですが、知事許可・大臣許可を問わず、複数の営業所を設ける場合にはそれらの営業所は「主たる営業所」と「従たる営業所」の2種類に分かれることとされています。
では、「主たる営業所」「従たる営業所」って何でしょう?
「主たる営業所」って?
建設業を営む営業所を統括し指導監督する権限を有する営業所1か所を「主たる営業所」としています。
「主たる営業所」として営業をするには次のことに注意が必要です。
- 必ず1か所のみ設置されていること
- 実際に建設業を営む事務所であること
※登記上の「本店」でなくても問題ありません。 - 経営業務の管理責任者(経管)が常勤していること
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「従たる営業所」って?
「主たる営業所」以外の営業所で、営業所の要件に合致するものを「従たる営業所」といいます。
「従たる営業所」を設置する際は次のことに注意が必要です。
- 必ず置かなければならないわけではないが、「営業所」の要件に該当するときは届出が必要。
- 設置・廃止は自由
※実際に建設業を営む支店であること。 - 「主たる営業所」以外の営業所であること
※登記上の「支店」でなくても問題ありません。 - 令3条使用人1名が常勤していること
※「令3条使用人」とは、従たる営業所の代表者、支店長的なポジション - 専任技術者(専技)が常勤していること
- 契約書の名義人が営業所の代表者ではなく、本社の社長や専務・部長などであっても実態として契約締結などの権限があるのであれば、その事務所であれば「営業所」と認められます。
- 営業所が1か所だけであっても、建設工事の施工自体は地域に制限なく行うことができます。ただし、建設工事の請負契約の締結は、建設業法上の「営業所」で行わなければならないことに注意が必要です。裏を返せば、契約締結の権限があるならば、そこは建設業法上の「営業所」として届出をしなければなりません。
建設業法上の「営業所」当たらない事務所?
以下のような事務所は建設業法上の「営業所」には該当しません。
- 建設業に無関係な本店または支店
- 単なる登記上の本店
- 事務連絡所
- 工事事務所、作業所
営業所の要件
建設業法上の営業所として営業するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 請負契約の見積り、入札、契約締結などの実態的な業務を行っていること
- 電話、机、各種事務台帳などを備えた事務室が設けられていること
- 1に関する権限を付与された者(「経営業務の管理責任者【経管】」または「建設業法施行令第3条に規定する使用人【令3条使用人】」)が常時勤務していること
- 専任技術者が常勤していること
- 代表者の自宅などを営業所と併用している場合には、事務室部分と住居部分が明確に区分されていること
- 常時使用する権原を有していること(自己所有、使用貸借、賃貸借など)
まとめ
今回は、建設業法上の「営業所」についてみてきました。
簡潔にまとめると
- 建設業法上の「営業所」とは、本店、支店など「建設工事の請負契約を常時締結する事務所」のこと
- 「建設工事の請負契約を常時締結する」とは、請負契約の見積り、入札、契約締結の手続など、契約締結に係る実体的な行為を行うこと
- 建設業法上の「営業所」にあたる場合には、営業所の要件に合致していること
そして、とっても大事なことは
- 建設業法上の「営業所」にあたる場合には、建設業許可ないし、「従たる営業所」設置の届け出が必要になる
ことです。
とにかく、形式としてどうなっている、ということではなく、「実態として」どうなっているかが重要視されています。
また、近年「コンプライアンス遵守」「遵法精神」が経営に強く求められています。
これは建設業界も例外ではありません。
「ちょっとぐらいいいだろう」「ばれなきゃOK」のような意識で経営をしていると自社や取引先、ひいては大切な従業員さんたちを失ってしまうことにもなりかねません。
しっかりと法律を守り、適正かつ適切な経営をしてください。「そんな法律知らなかった」では済みません。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。