こんにちは!埼玉県さいたま市の建設手続行政書士、くりはらです。
今回は、建設工事には欠かせない「解体業」
このなかでも建設業許可との関係が気になる「解体工事業の登録」について書いていきたいと思います。
解体工事業者の登録とは?
「解体工事業の登録」ですが、読んで字のごとく「解体工事をするためには登録が必要ですよ~」というきまりです。
これは「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」いわゆる「建設リサイクル法」をはじめとする法令の規程によって、「建築物などの解体工事を業として営もうとする者は、その業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない」とされています。
かみ砕いていきますと、
- 建築物などの解体工事を
- 事業として営業するときは
- 営業をしようとする
- 都道府県知事の
- 登録を受けなければならない
ということになります。ひらたく表現するなら「解体工事をする事業者は営業する都道府県で登録をしなければならない」ということができます。
ここでいくつかの疑問が出てくるかと思いますので、一つずつ解説をしていきます。
個人事業主は登録しなくてもいいの?
そんなことはありません。
事業者の種類については「解体工事を業として営もうとする者」とされていますので、個人事業主・法人とその種類を問わず、解体工事を営業する場合には登録が必要になります。
本社のある都道府県で登録すればどこでも営業できるの?
登録が必要な都道府県ですが、「自社が営業範囲としている都道府県のすべて」です。といっても47都道府県すべてで登録を行う必要はありません。
ご自身が解体工事でおカネをもらう=営業する地域の都道府県で登録をすれば十分です。
建設業許可との関係は?
建設業許可はそもそも「1件あたりの工事金額が500万円未満」である場合には取得する必要はありません。取得するにしても様々な条件があり、解体工事業の登録よりハードルが高いといえます。
しかし、建設業許可を取得すれば、どこで工事をしても構わないですし、工事金額の上限もなくなり、公共入札に参加できるなどプラスになることもたくさんあります。
これらの要素に加えて、自社の現状や将来を見て「解体工事業の登録」か「建設業許可を取得」かを考慮するといいかと思います。
参考までに建設業許可の条件(要件といいます)についての記事をご紹介します。
なお、解体工事業の登録をした解体業者が建設業許可(土木工事業、建築工事業、解体工事業)を取得すると、「解体工事業の登録」は効力がなくなります。解体工事業の登録があり、その後土木工事業、建築工事業、解体工事業のどれかの建設業許可を取得した場合、これを各都道府県知事に通知をする必要がありますので、お忘れなく。
登録に必要な条件はなに?
「解体工事業の登録」には条件があります。それは「技術管理者がいること」です。
解体工事業のを営むためには、適切に工事を施工する技術が必要です。そのため、「解体工事業の登録」では「技術管理者」を選任しなければなりません。
この「技術管理者」になれるのは一定の条件・資格がある方に限られます。
「技術管理者」になるための資格とは?
「技術管理者」になるための条件・資格の一覧が下記となります。
実務経験や土木工学に関する学歴がある方
- 大学(旧大学令による大学を含む)で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
- 高等専門学校(旧専門学校令による専門学校を含む)で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
- 高等学校(旧中等学校令による実業学校を含む)で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する者
- 中等教育学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する者
- 解体工事に関し8年以上の実務経験を有する者
※「土木工学科等」とは、
- 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園に関する)
- 都市工学
- 交通工学
- 建築学
- 衛生工学
に関する学科を指します。
以下のどれかの実務経験があり、国土交通大臣が実施又は指定する講習を受講した方
- 大学(旧大学令による大学を含む)で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 高等専門学校(旧専門学校令による専門学校を含む)で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 高等学校(旧中等学校令による実業学校を含む)で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
- 中等教育学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
- 解体工事に関し7年以上の実務経験を有する者
講習を受講していると、必要な実務経験期間を短くすることができます。
資格者がいる
- 一級建設機械施工技士
- 二級建設機械施工技士(「第一種」または「第二種」)
- 一級土木施工管理技士
- 二級土木施工管理技士(「土木」)
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(「建築」又は「躯体」)
- 一級建築士又は二級建築士
- 一級のとび・とび工の技能検定合格者
- 二級のとび、あるいはとび工の技能検定合格後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 技術士(2次試験のうち「建設部門」に合格した者)
資格があれば、実務経験は不要ではありますが、やはり試験は試験ですので若干ハードルは高いかもしれません。ただし、建設業許可取得にも活きますので、当事務所では資格取得を積極的におすすめしています。
その他
これらの他にも
- 国土交通大臣が指定する試験に合格した者
- 国土交通大臣がここまでに記載した者と同等以上の知識および技能を有すると認定した者
も「技術管理者」になることができますが、その数は多くはないでしょう。
登録後に必要なことは?
「解体工事業の登録」が完了した後もやることがあります。それは「看板の設置」「帳簿の備付け」と「5年ごとの更新」です。
看板
「解体工事業の登録」が完了したら、その営業所と解体工事の現場に規定サイズの看板に所定の事項を記載して掲示しておく必要があります。一般に「解体工事業の登録票」と呼ばれます。
解体工事業の登録票について
「解体工事業の登録票」ですが、
- サイズは横35センチ以上、縦25センチ以上
- 「商号、名称又は氏名」「法人である場合の代表者の氏名」「登録番号」「登録年月日」「技術管理者の氏名」
を掲示する必要があります。
帳簿の備付け
「解体工事業の登録」を受けた解体業者は、
- 営業所ごと
- それぞれの工事ごと
に帳簿を作成しその帳簿に、契約書等の書類を添付し、5年間保存しなければなりません。
5年ごとに更新
解体工事業の登録の有効期限が5年間とされています。そこで登録を終了することも、期限を更新することで事業を続けることも可能です。
解体工事業の登録を更新する場合は、その期限が終わる2か月前~30日前までに登録の更新を申請します。
解体工事業者登録の手数料
「解体工事業の登録」では、登録する都道府県ごとに手数料を納付する必要があります。
手数料は
- 新規申請=33,000円
- 更新申請=26,000円
がそれぞれ必要となります。
さいごに
今回は、「解体工事業の登録」について書いてきました。
簡単にまとめると
- 解体工事をするには「解体工事業の登録」か「建設業許可」が必要
- 解体工事業の登録には、「技術管理者」が必要
- 解体工事業の登録は、5年ごとに更新が必要
- 申請には手数料が必要
です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。