こんにちは!さいたま市中央区の行政書士、くりはらです!
今回のテーマは建設業許可の5要件のひとつ、「専任技術者」とはなにか?です!
専任技術者とはなにか?
「専任技術者」とは、「営業所に常勤して専らその業務に従事する者」をいいます。
かみくだいていうと、「営業所ごとに常駐して、主にその業務にたずさわる者」です。
請負契約を正しく結んだり、工事を計画通り進めるための技術的な指導・相談を受けるために、営業所に常時勤務する技術者のことです。営業所に常時勤務することが原則のため、専任技術者が現場へ出ることは原則としてありません。
この専任技術者は、建設業許可を取得する場合には、営業所ごとに必ず1人以上配置しなければなりません。
専任技術者の要件
建設業許可を取得するときには必ずいなければならない「専任技術者」ですが、書類を作れば誰でもなれる、というワケではありません。
営業所に常駐して、現場や発注者、元請業者への技術的なフォローをするという大事な役割があるため、専任技術者になるためには「要件」、つまりいくつかの条件が定められています。
この専任技術者の要件を表にまとめると以下のようになります。
一般建設業 | 特定建設業 |
許可を受けようとする建設工事に関して、 ① 学歴+実務経験 ② 10年以上の「実務経験」(学歴・資格を問わない) ③ 資格(許可を受けようとする建設業ごとに指定があります) |
① 資格 (許可を受けようとする建設業ごとに指定があります) ② 左の要件+元請として4500万円以上の工事において2年以上「指導監督的な実務経験」 |
と、これだけを見てみると、特に「一般建設業」に関しては、「意外とカンタンじゃん!」と感じた方も多いかと思います。
たしかに、一定の学歴や実務経験、資格などを持っていれば「専任技術者」になることができます。が。
「意外とカンタン」にいかないのが建設業許可なんです。どうしてか?は次を読んでみてください。
専任技術者の要件に該当していることを説明するための資料(確認資料)
この「専任技術者の要件に該当していることを説明する資料(確認資料とか裏づけ資料とか呼ばれています)」を揃えるのが、とっても大変なんです。
上の表左の欄の③資格については、資格試験の合格証や資格証明書などの「資格をもっていること」がわかる書類があればOKなのですが、①・②の「実務経験」を証明するのが大変骨の折れる作業になります。
どうして、「実務経験」を証明するのが大変なの?
それは、「裏づけ資料がたくさん必要になるから」です。
経営業務の管理責任者と同じく、「契約書、発注書、請求書や通帳等」を実務経験の裏づけ書類としています。
特に埼玉県の場合には、「1ヶ月に1件」を目安として必要な期間分を用意しなければなりません。
そして、表の②の「10年の実務経験」これを証明しようとした場合、一体どれだけの書類を用意しなければならないのでしょう?考えただけでもゾッとします。
しかし、いくらアナタが経験豊富な一流の職人さんだとしても、書類で証明ができなければ専任技術者になることはできません。どうにかして書類を集める必要があります。例えば取引先に請求書がないか確認する、など。
また、これから実務経験で要件を満たそうとお考えのアナタはこれからしっかりと書類をそろえておく必要があります。
どちらにせよ、「実務経験10年」を証明するのは結構高いハードルとなります。
解体工事業新設にともなう経過措置について
さて、話は変わって、昨年平成28年6月1日より施行された建設業法改正法では、解体工事業が新設されました。
これに伴って、専任技術者の資格要件に経過措置が設定されています。
その経過措置とは、「平成33年3月までの間は、とび・土工・コンクリート工事の技術者も解体工事業の技術者とみなす」というものです。
解体工事業が新設されるまでは、「とび・土工・コンクリート工事業」という許可で解体工事を行うことができました。いわば「とび・土工・コンクリート工事業」からわかれる形で「解体工事業」ができた、ということです。そこで、しばらくの間は「とび・土工・コンクリート工事業」で技術者だった人も「解体工事業」の技術者と認めましょう、という措置になっています。
ただし、いつまでも認められるわけではなく「平成33年3月まで」とされています。
つまり、「平成33年3月まで」には「解体工事業」の技術者の要件を満たしてちょ、ということです。
詳しい要件は「解体工事業新設にかかる経過措置について日本一わかりやすく解説してみた」をご覧になってみてください。
また、解体工事業の実務経験年数は、法施行日前(平成28年5月まで)の「とび・土工工事」の実務経験のうち、解体工事に係る年数とすることができます。
まとめ
ここまで長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?専任技術者、おわかりいただけたでしょうか?
事務所に常駐していなければならなかったり、いろいろと書類をそろえたりと、結構大変だなあ、と感じる方も多いかと思います。
でも、ウラを返せばそれだけ重大な責任を負うのが建設業許可業者、ということでもあります。
受注金額が大きくなる分、社会的責任も大きくなり、許可を取るための基準も自然、厳しいものとなる。といったイメージです。
そして、今は要件を満たしていなくても、いつか建設業許可を取りたいとお考えであれば、コツコツと資料は集めておいたほうがいいでしょう。
また、お手元に書類が十分になく、取引先へ書類を借りに行ったり、役所に相談に行かないとならなかったりと、とてもじゃないけど時間がない!面倒だ!とお嘆きの方はぜひ弊所までご連絡ください。